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11/9 柘植とイスノキを探訪

ツゲ 11/9 柘植もイスも櫛の材料として一級のものだが、都内でこの樹を探せないかとかねてより考えていたので、今日これを実行すことにした。 この低木が櫛に使える大きさになるまで必要な時間を考えると、材料が不足している理由がわかるのではないだろうか? イスノキ イスノキ(マンサク科)は常緑高木で、かなり昔から数が少なくなっているという。 従って希少なもので、地域によっては天然記念物に指定されているほどだ。 実に虫コブが出来やすく、これが膨らんで空いた穴から息を吹き込むと笛の様に鳴る為、これで遊んだ人もいる筈である。 ゆえに俗名をヒョンノキとも言う。 焼き物の世界でもイス灰といって釉薬にも使うが木自体が少なくなり、ついに幻になった。イスノキは上野の博物館周辺にあるとの話だったが、結構探すのに手間がかかった。大木には長さ4cmほどの汚れた小さな板が貼ってあり、見にくい字でイスノキと確認できた。 イヌツゲ 一般的に柘植と言われている庭木は犬柘植(イヌツゲ)が多い。 これはモチノキ科の植物で雰囲気は似ているが柘植(ツゲ科)とは全く異なる木である。

7/25 文志師匠と職人展へ

7/25 文志師匠から電話があり、久しぶりで職人展を見に行った。小田急デパートに入ると 真っ先に目に飛び込んで来たのは、職人展のポスターだった。文字は間違いなく 文志師匠のものである。親方は芸人でもある異色の職人である。 お伺いして気づいたが、文志師匠の作品に幅が出来て実に面白いのである。 これを近々大々的に掲載することを話し合った。今回の職人展は普段参加しないような 珍しい人達が集まっており、場内を歩くと知り合いの職人に結構お会いした。 立ち話をしているうちに、時間が経ち、その後のスケジールを飛ばすほどであった。 柘植のブラシを考案した鹿児島の喜多親方。浅草の印鑑の伊藤さんそして、席を 外していたがブラシの青山親方等々である。

5/19 銀座和光に出品

5/19 日本で最も高級なデパート銀座和光。銀座4丁目角にある時計台の付いたおなじみのビルである。 何と,この和光へ日本職人名工会のオリジナル作品が並んだ。 銀座4丁目交差点 左 現在工事中の和光全景。右 銀座三越

4/12 真珠 北尾親方

4/12 真珠 北尾親方 今日は久しぶり真珠の北尾親方のところに伺った。美しい真珠のNO.1は池蝶貝と思っているのだが、改めてこれを確認をしたいと思った。 この貝は淡水真珠である。淡水真珠が安物のように言う人もいるが何故なのか。根拠もなく、丸い自然の珠が良いというが核を入れるだけの作業だ。それは量産の為の技と言え、美しさとは異なる。天然であれば変形は当たり前の事で、なんであれ大体は天然にこそ価値があるのではないだろうか?、真珠だけが違うとは思えない。親方の貝は元気が良く美しさも輝きも違うのである。 北尾親方の真珠には核がない。芯まで真珠である。自然の美しさを大切にする。だから短期間で何回も貝に核を入れて酷使するような事はしない。事実、病気や弱い貝が増えているらしく、北尾親方に相談する業者もいるのである。駅に迎えにきてくれた親方は78歳で、池蝶貝と同じように実に元気である。 今の時代『常に人間は好奇心を働かせ、挑戦していないとだめだね。』こうした会話が実感を持って話せることは素晴らしい。本物の職人しかいない。巷で聞くのは、残念ながら理屈だけで実感の伴わない言葉も多い。 現在、挑戦している話もしてくれた。今は明かす事はできないが、そのうち名工会で紹介したい。下記の写真は池蝶貝の真珠で実に色が多彩である。 同種の貝から色とりどりな輝きが生まれ、色を揃えてネックレスを作ると神秘性を持つような、そんな不思議な気持ちになるのである。

1/29 テレビ神奈川のスタジオへ

1/29 テレビ神奈川のスタジオへ 今日は横浜の関内に出かけた。6局(テレビ神奈川、テレビ埼玉、千葉テレビ、KBS京都、三重テレビ、サンテレビ)の同時ネット番組“カルチャーSHOWQ”のパネラーとしての出演である。 司会は筧利夫氏とテレビ神奈川の佐藤亜紀さん二名の軽妙な司会のクイズ番組のような形であるが、内容は匠だ。ゲストに、やくみつる、くわばたりえの両氏であり、私は内容から考え説明員であるのだろう。 できるだけ職人の話をしてほしいと言われたが、進行台本は他氏も含めて全く書き込みなしで適度な緊張感を持って本番に望んだが、実際には違う感覚だった。 昨今、職人取材を含め色々と話が持ち込まれるが、活動が認められ始めたという事なのか、ありがたい話である。今日はこれと言った感慨もないまま、そこそこ楽しかったのではあるがはたして・・・。放送は2月11日でした。 因に弁当は横浜名物のシュウマイ。

1/13 富田親方

1/13 櫛の話 今日は江戸時代から昭和初期まで縦櫛を専門に製造している最大手、武蔵屋さんを 訪ねた。江戸時代の組合が存続した時代ごとの節目に、常にリーダーシップを発揮 して組合長を勤め続けてきた別格の家柄です。当代の冨田親方は当会の殿堂職人で もあります。天皇の御成婚の時、美智子妃殿下の髪に付けていた櫛を作った親方で すから専門的な知識をお持ちの方の中にはご存じの方もいる筈です。 宮内庁への献上とは元来は差し上げるもので受理されれば誰でも可能なのですが、 富田親方の櫛は他の宮内庁御用達の職人の作品とも比肩しないもので、櫛で言えば 国宝級の職人と言えます。ともかく櫛の世界の生き字引きであり、これほど木櫛に 詳しい親方はいません。今回は櫛の材料に付いてご相談させて頂きました。様々な 櫛の話とともに、昔からの横櫛の呼び名なども教わり、今日は楽しい一日でした。 ■ 柘植の産地 ■ 左から、  薩摩(カレ・庭栽培) 絶滅した三宅(自生) 御蔵島(自生)    御蔵のカレ(庭栽培) ■ 柘植材外皮 ■ 簡単に崩し落とせる薄い皮で、ごま状の斑点が特徴。 ■ 柘植とシャム ■ 柘植の枝(上段の枝)とシャム(下段の板) シャム製の櫛が最近は柘植櫛として売られているが、これは異種の材である。  皮も厚く、大きな木になる。材質は硬くて、柘植より幾分折れやすい。艶など  の美しさは柘植に劣る。一般の人達にはこれら二つの区別が全く出来ないが、  使っている内に黒ずんだ茶色の様な色になり、明らかに柘植とは区別がつく。  数千円の品はほとんどがこの木材の櫛であるが、本柘植として売られている。 ■ イス ■ 昔から皇族の櫛としても使われている。この板は現天皇のご成婚の 時に、美智子妃殿下のお垂髪(おすべらかし)にさしたとのこと。 これは櫛を造った富田親方からその時の切り落としを頂いたもの。