スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2010の投稿を表示しています

5/29 河内国平親方のトークショウヘ

5月29日
銀座で行われている“おとな塾”という企画ですが、今回の催しは刀鍛冶の河内国平親方でした。期間中は著名な方との対談やら親方の講演などが5~6日続きます。もちろん刀の展示もありました。アクリルのケースに収められた刀には鍵がかけられ、多様な種類が展示されています。昔の再現刀、刀の大小と短刀その刃文も多種多彩、実に内容的に充実していて楽しいものでした。中でも入り口に飾られた大きな刀は多くの人達の目を釘付けにしており、『これほどの重い刀をどうやって作るのか』という声が聞こえました。最も小さな刀は優雅な刀子(とうす)ですが、興味を持って見入る女性の方に、心得のある人が説明しています。国平親方は刀匠のランクとして言えば最高峰の一人であり、今や重鎮の一人と言えます。

まず私は親方とお会いして職人の現状を簡単に話しました。そこで世襲の話になり、確かに血というものはあるが、必ずしも素晴らしい職人になると言うことではない。本物にならなくては結局は駄目だと思う、といった話、あるいは、今の社会状況に於ける人々のものの考え方や浅薄な発露と、職人の文化に対する低い意識というものに、かけ離れた要因はなく根源は同じなのではないか言う話などもありました。立ち話とは言え中々の内容でした。

親方は当然忙しく、訪ねてくる客も多いので邪魔になってはと考え会場を後にしました。講演や対談などを行う時に、親方の刀職人としての“哲学的な姿勢と技量を兼ね備えたバランス”は、本来の“研鑚と言う姿勢”を象徴するものでした。その意味で職人の中では抜きん出た存在です。これからも国平刀匠の出番は多いと思います。

5/9 破草鞋窯、飯能焼きの岸親方

5月9日
飯能焼きの親方と何年ぶりかの再会です。
今回は、女流の焼物職人川久保久美子さんとの二人展です。会場は浜町、明治座のすぐ側の画廊です。会場に付くと“すっきりと黒いパンタロンスーツの女性”がにこやかに笑ってこちらに向かってきます。近くに来て分りましたが奥さんでした。以前とはまるで違う容姿にビックリです。親方はこの何年かで病気が原因してずいぶん太った様子。
回復後も後遺症で手が痺れて力も出なくて困ったそうですが今は普通になったとのことで安心しました。近頃は何か面白い仕事はとお聞きすると見せてくれたのは硯など書道の道具でした。著名な書家の協力と要望があり、その研究の成果で、まだ研究余地があるとのこと。

川久保さんの焼物は女性らしいソフトな印象で日用に使いたい様な器が並んでいました。
特に江戸好みの方にお知らせしますが、飯能近くに行ったら破草鞋窯(はそうあいがま)を訪ねて下さい。名工会から紹介されたと言えば安くしてくれるはずですが、これを親方に言うのを忘れましたが大丈夫だと思います。

ちなみに窯の名称ですが、鞋と言う字が使われています。蛙と勘違いする人が多いのですが草鞋(わらじ)のことです。従って「破が付いて破れたワラジ」と言う意味です。江戸を象徴するような意味を持っていると思います。因みに飯能焼きは、江戸の町の日常の器で東京の街から多数出土しています。さらに、日本橋界隈は飯能焼きなどが売られていた本拠地で、その場所での個展は意味あることです。親方は以前よりも肩の力が取れ自然体で、じっくりと向かっている姿勢を感じました。

3/6 紫雲石硯の熊谷親方に会いにいきました。

熊谷親方に久方ぶりに会いにいきました。場所は日本橋高島屋、いつものように実に元気であり安心しました。大正生まれの親方は高島屋にはお世話になったと言うことで、毎年必ず律儀に本人が出向いてきます。
ですから私もお会いするのが楽しみで出かけるわけです。

今回は息子さんを引き連れての登場でした。開口一番に日本一の“硯石を発見した”という話からはじまりました。敷地に国道が通ることになって山を切り崩したときに出土したものである、と。この紫雲石は中国の名石と材質が同種と言われ、上海美術館が過去に買い上げられた事実があります。これはこの石の実力と素晴らしを示す上でとても大きな出来事でした。その感謝状に熊谷閣下とあって、親方もこの表現には驚いたそうです。しかしそれが、さらに凄い石が出現したわけですから大変な事件でした。

摺り心地は夢のようで墨が硯に吸い付く感じで、まさに日本刀の研ぎ師が使う最高の砥石と同様の感覚とも思い、誰もいなければひとつ字をしたためようといった心地よさであります。これほどの石をよく見れば、幾重にも金色に輝く結晶が帯状に流れ層をなしています。過去にも輝く類型のものがあったとのことですが、それは錆びる性質のある黄銅鉱であったため、今回の名石とは全く違う石だったようです。昔、近くで金が取れたこともあったそうなので、まさかと思いつつ「調べたら逆に夢が壊れるかも知れない」ということで、楽しみを後回しにしてまずは検査はやめておいたそうです。ともかくこれほどの石はかつて見たことが無いとのことです。まずは日本一とも言える石をご鑑賞ください。


・摺り比べてみました。



・硯に走る線をご覧下さい。



・石には金色に輝く細かい結晶が見られます。




息子さんは親方の性格だと出来た硯も従来品と同じ価格にしてしまうだろう、しかし息子としては「せっかくの凄い紫雲石なのに」と少々不満そうでした。しかし客側からすればこれはまさに買い時な訳ですから、誰もがこの石から購入して行くそうです。因に後にわかったことでずか、この光るものは黄鉄鉱でした。残念。